とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


駄目だと頭の中では、理解していてもワクワクが抑えきれない私。

すると。

「フローラ。せっかくだし見に行くだけ行けば?このまま帰ればあなた、今日のことずっと後悔しそうだもの」

私の様子に気づいたミリアがコソッとそんな耳打ちをしてくる。

ミリアったら私のこと気にかけてくれてるのね。

彼女に背中を押してもらえてようやく決心がついた私は、

「…じゃあ、見学だけ」

と、控えめにそう呟いた。

続けざまに。

「あ、せっかくなんで僕も一緒にいいですか?」

ミリアが笑顔で挙手をする。

「もちろんよ…!よかったわね。兄さん」

パアッと表情が明るくなったアンは嬉しそうにハロルドに声をかけていた。

「あぁ、嬉しいよ。ではそうと決まれば善は急げだ。今から案内しようか」

「えぇ、それがいいわ!二人共ついてきて」

ハロルドとアンに促され、私はミリアと共に足を進める。