ミリアが眉をひそめて、心配そうに呟いた。


「大丈夫よ、本当に危なかったらちゃんと逃げるし…それに、今の所その辺の男性に負けるほど私弱くないもの」


「でもねぇ…いくら剣の腕がすごいからって…公爵令嬢が男装して街の騎士団に所属するなんて本当にどうかしてるわ…」


「何言ってるの。私に男装して街を歩くように提案したのミリアじゃない」


そう、実は私、フローラ・キャンベルには公爵令嬢とは違うもう1つの顔がある。

そして、ことの発端は、4年前。私が13歳になったばかりの頃に遡る。


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「ねぇねぇ。フローラ!私、フローラって案外男装も似合うと思うのよ、1回だけ…男装してお互い街に出てみない?」


ある日、いつものように邸で遊んでいると、ミリアが突然、私にそんな提案をしてきた。