クスクスと、不敵に微笑む彼女に私は肩をすくめる。


「ミリアったら…」


「…でも、いいなぁ。私も誰も見たことがないっていう引き篭もり公爵のご尊顔拝んでみたいものだわ。フローラ、ちゃんと後でどんな方だったか教えてね!」


心底羨ましそうな眼差しを私に向けるミリア。


「あらそう?じゃあ、婚約者の座、変わってあげようか??」


「あ、それは勘弁ね。私にも婚約者いるもの」


全く良い性格してるわね…。


私の渾身の嫌味に対しても全く動じない彼女に私は心の中で小さくため息をついた。


「それで、噂のロイ様とはいつ会うつもり?」


「…そうね。私も色々忙しいから予定を合わせるとしたら1週間後ってところかしら?」


「忙しいって…まさかフローラ、また剣術稽古のために街に行ってるの?流石に危ないわよ?自分が女だってことそろそろ自覚しないと…」