「なぁ…アンって最初からパーティーの料理目当てだったんじゃないか?」

そんな彼女の後ろ姿を見つめ、キースは呆れたように口を開く。

確かに遠目でテーブルに並べられた料理を皿に盛り付けているアンの姿に私もその言葉を否定できなかったが…。

「あはは…。でもせっかくだし、楽しんでくれるなら私は嬉しいよ。2人には迷惑かけちゃってるから」

キースに対してそう返答し、笑顔を向けた。

「まぁ…フローラがそう思ってくれてるならいいけど…」

苦笑いを浮かべたキースが私の方を見つめたその時。

「ねぇ…!あちらの白のタキシードの方、素敵よね〜」

「えぇ!私もそう思ってましたの!スラッとしていらして金髪も綺麗で…。あの近くにいらっしゃる紅いドレスの方がパートナー?羨ましいわね」

私の後方で、そんな令嬢達の話し声が聞こえてきて思わず私は聞き耳を立てる。

白のタキシードに綺麗な金髪。

それにパートナーが紅いドレスって…。

確実にキースのことよね?