---ガヤガヤ。

邸宅内に入ると、すでに多くの人で会場は盛り上がりを見せていた。

へぇ…。結構、招待客が多いのね。


仮面舞踏会だから当たり前だが、周りの全ての招待客が仮面をつけている。


きっと、知り合いの令嬢や子息もいるのだろうが仮面のおかげで確かに正体がバレることはなさそうだ。

仮面に関しても羽がついているものや、宝石がちりばめてられているもの等デザインが個性的で、まるで異世界に迷い込んでしまったような感覚に陥った。

それにしても…。

私はキョロキョロと辺りをみまわしてみる。

楽しそうに談笑する人、料理に手を付けているもの等それぞれ思い思いにパーティーを楽しんでいる人々を横目に。

…これだけ人が多いとロイ・シェラードを探すのだけでもひと苦労ね。

そう思って、私が内心ため息をこぼしていると。

「お嬢様、私は…あちらの方で待機しておりますわ」

アンが微笑みながら声をかけてきた。

「…えぇ、わかったわ。広いから迷わないように気をつけて。とりあえず、ターゲットが見つかるまでは好きに過ごしてていいから」

コソッとアンに耳打ちをすると、彼女は嬉しそうに口角を上げる。

そして、ウキウキした足取りで従者用の食事が並ぶテーブルの方へと足を進めて行ってしまった。