うちが公爵家ってことは、まだ2人には話してなかった。

結局、爵位やらキャンベル家については、話すタイミングを逃してしまっていて…。

まぁ…爵位なんて、わざわざ言わなくても問題はないと思うけどね…。

「フローラ様、オルレイア家が見えてきましたよ」

御者席からヤコブのそんな声が聞こえてきて、私達は同時に馬車の窓から外を眺めた。

さすが、オルレイア伯爵家ね。門構えも立派だわ。

ここからでも、正門の前に何台か馬車も見えるし、今回の仮面舞踏会はそれなりに参加者がいそうだ。

数分後、私達の馬車も無事に屋敷の正門にたどり着く。ヤコブのエスコートで馬車を降りると。

「わぁ…」

「でかいな…」

すでに馬車を降りていたアンとキースが屋敷を見つめ、目を見張っている。

そんな姿が可愛くて思わずクスッと笑みをこぼした私。

「…はっ!キース!あんた、フローラのパートナーなんだからエスコートしないと」

「そ、そうだ。フローラ、ごめん。俺がエスコートしないとだよな」

アンに注意され、慌てて私に駆け寄ったキースは、サッと手を差し出した。

「キース、気にしなくて大丈夫。わからないマナーがあれば私がサポートするから安心して。あと、身バレ防止のために、この門をくぐったら貴方の名前はナイトよ。アンも、アリスだからね!」