窓から御者席に座るヤコブに声をかけると。
元気よく「了解です!」と返答があった。
そして、すぐに馬車は、今回の舞踏会会場となるオルレイア家に向かって走り出す。
「オルレイア家といえば、伯爵家の中でも資産家として有名よね…!私みたいな一般人でも知ってるくらいだし。きっと、お屋敷もすごく大きいんでしょうね〜」
「そうね。オルレイア家は、貿易でかなり羽振りがいいと聞くし。私も仕事でオルレイア家のご当主とお話したことがあるけれど、確か私と同い年の息子さんがいたはず。名前はギルバート様だったかしらね…」
思案するように、首をひねる私に向かって。
「フローラってオルレイア伯爵のご当主様と仕事でお会いするの…?すごいわねぇ…そう言えば、フローラが貴族だと言うことは知っていたけれど、爵位とか聞いたことなかったわよね?」
目を丸くしてアンが問いかけてきた。
ドキッ。
「え、う、うちは…。そんな大した位じゃないのよ。あはは…。それに!オルレイア家のご当主とお会いしたのもたまたまだし?そんなことより!ほら、もうすぐオルレイア家に着くわ」
「ふーん?そうなのね…」
若干、苦笑いを浮かべ、話をそらす私をアンは不思議そうに見つめてくる。



