けれど、確かに目が合ったはずなのにキースは、ふいっと視線をそらす。
え、何?今の態度。
もしかして目を背けたくなるレベルに似合ってないってこと…?
初めてキースから意図的に顔を背けられたことに内心ショックを受けている私の横で。
「…ハァ。そこは似合ってるくらい爽やかに言いなさいよ。これだから騎士団の男って…」
呆れたように額に手を当てて、ポツリと呟いているアン。
しかし、ショックで固まっている私には彼女の声は届いていなくて…。
1人で「やっぱり着替えるべきかしら…」と思案する始末。
その時。
「さ、フローラ。キースは照れちゃって上手く褒められないだけだから、気にしないでいいのよ?というか、そろそろ出発しないと舞踏会に間に合わないんじゃない?友達とも途中で待ち合わせしてるんでしょ?」
見かねたアンが私に向かってそう声をかけてきた。
そ、そうだった…。
ミリアとも会場の入口で落ち合う手筈だったわ。
「そうね。そろそろ行かないと間に合わないわ。ヤコブ、舞踏会の会場までお願い!」



