「ありがとう。でも、ちょっとわたしには派手かなって思ってるんだけど…」
私が今日着ているのは、胸元の開いた真紅のドレス。
普段着慣れないくらい肩が出たドレスに私も少し戸惑っている。
ちなみに選んだのは、ミリアだ。
彼女曰く…。
「いーい?フローラ、仮面舞踏会はね、顔が見えない分ドレスで目立ってなんぼよ?あんまり地味なドレスを着てるとどこの田舎者かって、逆に目立っちゃうんだから!このくらい派手でいいのよ」
とのこと。
まぁ、確かにミリアの言うことも一理あるし。
何度も仮面舞踏会に参加したことのある彼女の経験を今回は信じたというわけだ。
「すっごく素敵よ!フローラって普段はあんまり肌見せないからわからなかったけど、胸もあるし、スタイルもいいし、そのくらいセクシーなドレスもすっごく似合ってる」
「…あ、ありがとう」
真顔で褒められるとなんだか気恥ずかしくて、思わずアンから視線をそらしてしまう。
その時。
パチッ
私の前の席に座っていたキースと目が合った。



