「ありがとう。助かるわ」
「こっちこそ、舞踏会へ参加する機会なんて貴重な体験だし嬉しいわ!」
フフッと私に向かって笑顔を向けるアンは、パチンとウインクする。
「まぁ、確かに二度とない経験かもな…」
苦笑いのキースはまだ若干不安そうだ。
「2人共、本当にありがとう…。残り約2週間しっかり準備して舞踏会に望みましょう…!」
互いに視線を合わせ、コクリと頷いた私たち。
そして、その日から仮面舞踏会へ向けての準備を着々と進めていたのだった----。
アンもキースも、今日のために頑張ってくれたし、絶対にロイとの婚約破棄を実現させなくては…!
そう改めて決心をした時。
「お嬢様…!指定の場所につきましたよ〜」
御者席からヤコブが私に声をかけ、ゆっくりと馬車がとまる。
そして、馬車の扉が開き、中に入ってきたのは…。
「フローラ!どう似合うでしょ?」
メイド服に身を包んだアンと、
「これ、着方合ってるか…?」
シックな白のタキシードに身を包んだキースだ。
「メイド服って結構可愛いのね…!気に入っちゃった…!というか、フローラったら素敵ね〜。さすが貴族令嬢様だわ」
私の隣の席に腰をおろした彼女は私の姿を見て目を丸くする。



