とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


ヤコブ、ありがとう…。

心の中でお礼を述べつつ、私は馬車の窓から外を眺めた。



結局、あの後ロイ・シェラード公爵からの返答は…。

【わかりました。当日貴女に会えるのを楽しみにしております。ロイ・シェラード】

と拍子抜けするくらいあっさりしたものだった。

ふぅ…。とりあえず、1番の問題はクリアね…。

しかし、問題はここからだ。
私は翌日早速、アンとキースにコンタクトをとる。


「仮面舞踏会…!素敵な響き」

「俺、マナーとか全然知らないんだけど…大丈夫かな?」

大まかな計画を伝えると、キラキラと瞳を輝かせるアンと、少し戸惑ったような表情のキース。

あまりにも正反対の態度を示す2人に私はクスッと微笑んだ。

「キース、大丈夫よ。マナーは残りの2週間で私が叩き込むわ。心配しないで。あと、アンにもお願いしたいことがあるの。良ければ、私の侍女に変装して一緒に舞踏会についてきてくれないかしら?キースのサポートもお願いしたいし…」


「えぇ!もちろんよ。私が貴族の舞踏会に行けるなんて思ってもみなかったわ〜。兄さんには秘密にしとかないとね…!」