正体がわかっているのであれば、話が早いのだけれど…。

ハァ…と、ため息をつく私は、オフィーリアお姉様に対し、困ったような笑みをこぼす。

「フローラ、ごめんなさいね。私が力になってあげたいのだけれど、ロイ様のことは全然知らないし……。一応、オリヴァーにもロイ・シェラード公爵の情報がないか聞いて見るわ」


申し訳無さそうな表情のお姉様に胸が痛んだ。

「お姉様、ありがとうございます。私も…とりあえず、あちらが会いたいと言ってきてるのですし、会ってみようかと…オリヴァー義兄様にもよろしくお伝え下さいませ」


なるべく心配をかけないように、明るく振る舞おうとオフィーリアお姉様に向かって笑いかけた時。


バンッ!


部屋の外の扉が勢いよく開いて、入ってきたのは…


「…ママ〜」


目に涙を浮かべた少女。


そうオフィーリアの娘、アリシアだった。