あまり気乗りはしないが、とりあえず目の前にあった封筒を1つ手に取ってみる。

「…仮面舞踏会」

偶然、手に取った封筒は"仮面舞踏会"の招待状。

そういえば、最近の社交界で仮面舞踏会が流行りだとミリアが言ってたっけ?

お互いに仮面をつけ、素性を隠すことで、いつもは気にしなくてはならない身分や地位の差が、この時だけは、気にならなくなると若い貴族の間で好評なのだとか。

ミリアにも、何度か一緒に参加しようって誘われてはいたものの、タイミングが合わず結局はまだ1度も参加できていなかった。

ちょっと待って。
もしかして、仮面舞踏会だったらキースとロイもお互いの顔を見ずに参加できるんじゃない…?

ふと、頭をよぎったそんな考えに、私はハッとする。

そうよ…!

仮面舞踏会でキースとロイに会ってもらえば、2人はお互いの正体に気づかないし、私はキースを偽の恋人としてロイに紹介できるわ。

…この作戦、意外といけるんじゃないかしら。