普段のフロイドとしてなら、別に気にはしないけれど。
今日はフローラとして、しかもアンに婚約破棄をするにはどうすればいいかの相談に来たわけで…。
キースが一緒にいることで話しにくい話題も出てくるだろうし、こちらも考えて言葉を出さないといけないのは少し面倒だ。
「えっと、そうね…あの」
そう思った私がキースに対して、どう断ろうか悩んでいると。
「ダメ…かな?」
うっ…。
ジッと、まるで捨てられた子犬のような目をする彼に私はグッと押し黙ってしまう。
「……っ」
黙っていれば天使みたいに綺麗な顔をしているキースは、予想以上に破壊力が凄まじかった。
アンは、そんな私達のやり取りを面白そうに見つめるだけで何も言ってこないし…。
「ダメ…というわけではないけど…」
「じゃあ、オッケーってことで。さ、行こっか2人とも」
「…ちょ、ちょっと!?」
最終的には、強引に話を進めてしまったキース。
慌てる私を尻目に「ふふ。フローラの負けね。諦めて行きましょ。大丈夫、とりあえず正体がバレないように私もフォローするから」と、アンは笑顔でその後に続く。



