「日向、やかんでしょ」
とあかりに言われ、日向は、えー、ゆかんだよーという顔をする。

 あかりは日向の元に行き、ポスターを指差し、言った。

「日向、これは、な~に?」

「わかんないの『わ』!」

「逆ギレか……」
と呟くあかりに、笑ってしまった。

 でもちょっと泣きそうになる。

「それと、こっち、しまうまさんの絵が描いてあったでしょ。
 しまうまの『し』だよ。

 まあ、しまむらでもいいけど……」

「しまうま、道であんまり見ないよね」

「あんまり見ないって、いつ見たの……」

 ……はは、と笑いながら、青葉は思う。

 もっと日向が小さなときから。

 ずっと、この二人を見ていたかったな、と――。