貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

正直,2人には夜雅の側なんて離れて欲しい。

普通の女の子として生きることは,やろうと思えば可能なのだと態度を見ていて思ったから。

だけど,彼女達は離れないし,ここがどこなのか教えてくれなければ,これ以上の手助けをくれるとも思えない。

私がお礼を口にすると,シェイナは目を丸くして,シェリアはただ無言で微笑んだ。



「じゃあ,また機会があったら逢いましょう」

「命令で殺しにいくのかもしれないけどね」



姉妹と違い,私のことなら厭わず殺すのだとさらりと暗に言われる。

そんな不穏な会話を残して,彼女達は至って平然とした態度で部屋を出ていった。

その手には,私の命を繋いだ水筒がある。

彼女達との会話は,脳を少しだけ働かせ,クリアにした。

たっぷりと重い息を吐く。

……ありがとう。

彼女達がどんな人間であれ,たった数分の出来事が気まぐれであれ。

私が大きく助けられたのは事実だった。

この出来事が,後の私を助けてくれたなら。

今だけだとしても,もう目の端にも映らない小瓶にそう願った。