貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

「ちょっとシェリー。一緒にしないで。シェリーは必要のない拷問をする上に,嬉々として武器を扱うでしょう。さくっと殺す私の方がずっと優しいわよ」



ふんっと顔をそらしたシェイナに,私はもう言葉が出ない。



「ああそうだわイナ。忘れてた。持ってきたもの,渡さなくっちゃ」



シェイナの言葉を軽く流し,にこりと微笑むシェリア。

私が目を向けると,ぽんと食糧が渡される。

渡されたのは1つのお握りと,水。



「容器が見つかると面倒だから,水は今飲みなさい。どんなに惜しくてもね。薬も薄まるでしょうし。それから,排泄用の壺があるでしょ? 薬キメたら向かうことも出来ないから,用心するのね。ぐちゃぐちゃになるわよ」

「ダーレンだってあなたに死なれちゃ困るもの。明日の夜あたり,何か持ってくるはずだわ」

「元気すぎるとうっかり早めに喰われるかもしれないわね。この行為をどう受け止めるかは自由だけど,恨まないでよね。それ,無意味で不毛な行為だから」



提案したのがシェリアと言う割には,シェリアは案外あっさりしていて。

シェリナは突き放すような態度とは逆に,世話焼きな性格をしているようだった。

今日死ぬより明日,明日死ぬより明後日。

もしかしたら,助けが来るかもしれないのだと。

脱出の手だてがあるかもしれないと。

私はぐっと口の中を噛んだ。



「いいえ,ありがとう」