貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

揺れた身体に,指先がコツンと何かに触れる。

私は



「ぁ……」



と小さく声を漏らした。



『やめた方がいいわ』



そして,目の前の2人が自分に何をしてくれたのか,理解する。



「……ありがとう……でも,2人は……?」

「夜雅様の右腕と言えば分かるかしら? シェイナが左ね」



さらりと,にこにこした平和な表情で告げられ,私は氷のように固まった。

イナは困ったようにわざとらしい息を吐く。



「バカなダーレンはね,勝手に自分を右腕,私達姉妹を左腕だと思っているけど……まぁ,いいわ。そのバカが祟って,もうすぐ棄てられそうだもの」



ふんと嘲笑い,シェイナは黙った。

ダーレンの名前まで出て,初めて私の思考は纏まっていく。

これだけ自信たっぷりに告げられることこそが,本当なのだと思わせてきた。



「あぁそうね,ダーレンってば,あの人も困ったものだわ。古参の中での年功序列だとでも思っているのかしら」



やれやれと,天使のような穏やかな表情で,憂いを乗せた声色で発する。

まるで日常会話のような自然さに,気味の悪さを感じた。