ただ横たわり,全てを否定し。
何日もここにいるかのような時間の感覚。
いつダーレンがやって来てもおかしくないと思ってしまう。
本当の滞在時間も分からない。
泣きたい気持ちに溢れ,ムカムカと吐き出すものもない胃。
なのに,それがどんなものか知っていながら,気にしてしまう小瓶。
たった1粒,希少で価値のあるもののようにコロンと小瓶の中で転がっていた。
ぼう……とする頭,はっと気付くこともなく,身体がベッドの端に寄っていく。
まるで,雨の日の川を覗くと,吸い寄せられるあの感覚。
すぅっと目を閉じ,唇が開く。
小さく吸った息は,私の腕をさらに小瓶へと伸ばした。
今が実際,どれだけ時を進んだのかは分からない。
でも,私の体感が数日であることは変わりない事実だった。
多くの緊張で,脳の血管が切れてしまいそう。
頭痛がして,涙も嘔吐物もなく。
限界は,既に越えていた。
「最初で最後の警告よ。やめた方がいいわ」
じわりと開いた瞳が,考えるより先に向く。
「イナの言う通りよ。……でも,すごいわ! 8時間も耐えた人なんて初めて……! お陰でイナもあなたを助けること,赦してくれたのよ」
「シェリー……言ったでしょ? 確かに6時間以上耐えたらなんて言ったけど,この人に口を出してあげるのはこれで最後だからね」
「もう,何度も言わなくても分かってるわよ」
突如現れた,互いに呼び合う2つの姿。
私は警戒するより先に,混乱を極めた。



