貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

目の前のこの男は……

想像に限界のある1つ目より,私が2つ目に恐怖する事を知っていただけ。



「夜雅様の性格上,恐らくご到着は1週間程後になるはず」



ちらりと私を見る。

そのまま,男は私を舐めるように眺め,歪んだ笑みを浮かべた。



「夜雅様の許可のもと,今あなたは私の所有物です。2つ目は強制ですので……薬漬けになったあなたで,私を楽しませてくださいね」

ー他のオモチャ達のように



私は思わず口を覆う。

今にも吐いてしまいそうだった。

寧ろ,吐いてしまいたいとすら思う。

ここには一体,"何人が暮らしているんだろう"。

息苦しさに顔を歪め,私は危ない人間の前であることも忘れ目を閉じた。

するりと足を撫でられて,反射で足を振る。

私のその足は,近づく男の顔を蹴り飛ばすこともなく。

がっしりと掴まれただけだった。

逃げられないことを見せつけるように,男は私の足に腕を絡め,顔を近づける。



「うっかり伝え忘れていました。……私は,夜雅様の右腕,ダーレン。1週間と経たずとも,何度も喘ぎ呼ぶことになりますよ……凛々彩。では,また明日」



最後に,ダーレンと名乗る男はふくらはぎに,既に自分のものであるかのように,すり……と口付けた。

ダメ元でもいいと,無駄な抵抗に身を捩る。

早く,戻らなくちゃ……

1日いるだけでも,もう無事ではなくなってしまいそう。

その私を嘲笑うように,そっと嗤ったダーレンは。



「……っつぅ……」



私の二の腕に,"何かを刺した"。

何かが注入されていく。

口を手で塞がれ,う"ぐ……と声が漏れる。

目眩がし,更に何かを嗅がされ。

私の意識は,またダーレンの手によって奪われてしまった。