貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

「ところで,私の手元には2種類の薬があるのですが……廃人と化してその薬を求め続けるか,逃れられない快楽に囚われるか。あなたはどちらがお好みですか?」



唇と心が震える。



「そんなの……どっちもいや!!」



薬……?

人間をそんな風に変えてしまう物を,夜雅……東の組織は所持していると言うの……?

ふむ,と。

男は人差し指を折り,確信的に私の拒否の意味を歪曲した。



「選べない……か」



男の口角が,侮蔑に上がる。



「なら,順番に与えましょう。今から注射し,明日からは同じものの錠剤タイプを置いておきます。いつまで誘惑に耐え得るか,見物ですね……せいぜい,壊れてください」



嫌に説明的だと。

より怖がらせるつもりなのかと思った。

どちらにせよ,直ぐにでも抜け出さなくてはいけない状況には変わりない。

気をしっかり持ってと,自分の膝を抱えたとき。

その気持ちは直ぐに霧散してしまった。