夜雅の方も上手くいっているようで,夜雅の動きは南にも伸びていた。

自治区を危険にさらしてまで,島全体の利益を優先するベルトゥスを私はすごいと思った。

心から自分の地区の人間を愛しているのに。



「ところで……ここを知ってるのは,どれくらいの人なの?」

「そうだな,信頼を置ける部下20人くらいだな。夜中に呼び出して,伝えてある。場所まで知ってるとなると,5人くらいか?」

「ありがとう」



教えられた内容を頭にいれて,私は頷く。

信頼できる人……

そう口に出来る程の人間が,蘭華にはどれくらいいるだろう。

20は,トップを張るにはきっと少なくない数だ。

私はまた,蘭華を恋しく思ってしまった。

これじゃあ,最大限気を使ってくれるベルトゥスに失礼ね。

自分が情けない。

自分で決めて,蘭華を助けに戻ったのに。

今は前世で知り合いもしなかった人に自分が守られている。

蘭華にも,心配をかけて。