蘭華が同じことをしていたらと思うととても嫌だけど



「彼女達,きっと待ってるわ。それに,少しお店で遊ぶくらいなら私をここに置いたままでも……」

「心配するのはそんなことだけか」



ベルトゥスはふはっと笑った。

余程意外だったらしい。



「俺は今,新婚生活のような気分で羽を伸ばしてるわけなのさ,凛々彩。警戒こそすれ,血生臭い事からもバイバイしてな。あんたといるのも悪くねぇもんだから,今のところそんな不満は持っちゃいねぇよ」



わしゃわしゃと頭を撫でられて,私は顔を歪めた。

この人はとても大雑把なところがある。

蘭華はこんな乱暴に頭を揺らしたりしない。



「いざとなったら嬢ちゃんがいるしな」

「……それじゃ困るから心配したのよ」



わけもなくベルトゥスが嬢ちゃんと呼ぶときは,大抵本気じゃないと知っている。

年が多少離れてるからか,蘭華とはまた違う安心を覚えて。

私は子供のように口を尖らせた。

かく言う蘭華はと言えば,私を探してくれているらしい。

ベルトゥスから聞いたことだけど,その探されている私が平和に暮らしているのは罪悪感がある。