「凛々彩はそのついでに探す予定だったらしいが……あまりの見つからなさに,夜雅の興味を更にくすぐっちまったらしい。もうすぐお前のとこに,襲撃予告とそれを撤回する条件が送られてくるぜ」



なんなの,これ。

なんなの?

まだ半年あったはず。

と言うことは,夜雅は蘭華に返り討ちにされた?

分からない,分からない。

私は誰が蘭華を狙ったのか,知らないのだから。

あんなに大きくて危ない組織を,簡単に退けられるとも私には思えない。



「ベルトゥス……さん。もしかしてあなたは,それを伝えにこの土地に……?」

「ああ,バレていることをバラすわけには行かねぇからな」



あっさりとネタばらしをしてしまったベルトゥス。

ベルトゥスが向かっていた方向を考えても,辻褄があってしまった。

この先にあるのは,蘭華のお屋敷。

もし今日,私達が出掛けてさえいなければ,客人として屋敷に上がってきたはず。

そして私は前世でも,客人と顔を逢わせることは無かった。

つまり,じゃあ……

前世で蘭華は,夜雅に私を渡さなかった……?