貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

ヒヤリと空気が過ぎた。

私の名前を知るベルトゥスに,蘭華は武器を取り出せる体勢になる。

対するベルトゥスは,飄々とした態度で,煽るように笑んだ。



「お前のとこにいたのか。あのタヌキの娘っこは。なるほど,確かに美人で啼かせたくなる」

「……ベルトゥス」

「怖い顔すんなって,蘭華。俺は凛々彩の今の立場が知りたいだけだ。まさかお前のとこにいるとは思わなかったけどな」



私が,なに?

用があるのは,蘭華よりも私。

そう言うように,ベルトゥスは真っ直ぐ私を流し見る。

じっと見つめ返すと,ベルトゥスはニッと笑った。



「そんなとこより,俺んとこ来た方がいいぜ? 守ってやっから」

「守るって……何から? 蘭華は充分,利益にならない組織からは守ってくれるわ」

「じゃあ逆に聞くが,凛々彩の思う1番利益になる売り渡し先はどこだと思う?」



やっぱりなと,鼻で嗤うように私の境遇を悟るベルトゥス。

私は不満に思いながら,頭を働かせる。

蘭華が1番敵に回したくないのは……