昼食に,私達はお肉の串焼きを買った。
大葉をくるんだ豚肉が,長い串に5つ刺さっている。
「美味しい……」
貰ったそばからお腹が鳴るような,タレの良い匂いがした。
七味唐辛子のピリッとした辛さが,次の一口を促す。
外で販売するにはとても適したもので,通りがかった人が何人も流れていった。
「……よお蘭華,久しぶりだな。女連れとは相変わらずすみに置けないやつめ」
私達はぱっと振り返る。
特に蘭華は嫌そうな顔をしていた。
誰だろう。
がっしりとした体つき。
自信ありげな整った顔。
頬に,小さな傷痕。
蘭華への態度の軽さからすると,多分。
南の,ベルトゥス……?
「おかしいな,ここは僕の土地のはずなんだけど」
「良いじゃねぇか。何も怪しいことはしちゃいねぇ。普段もたまに逢うだろ?」
「それは見逃してやってるだけだってこと,そろそろ自覚した方がいいよ。ある日突然,首が飛ぶかもしれないからね。最も取り決めを破ってる時点で,君の手下も何も言えないんだけど」



