「僕,これなんか君によく似合うと思うんだけど」
小さな石の散りばめられたブレスレット。
それは私が一番最初に目に留めた物だった。
似合うと言われても……
「僕が凛々彩にプレゼントしたら,ずっと着けていてくれる?」
込み上げるような嬉しさに,うんと言うことすら恥ずかしい。
蘭華の袖を掴んで,うつむいた私は小さく頷いた。
「これ1つ」
蘭華は値段も見ずに,しょぼしょぼのおばあさんに渡す。
綺麗に保たれた財布を出した蘭華は,代金を支払うと私に向き合った。
くるりとブレスレットを巻かれる。
「じゃあ,今から外しちゃだめだからね」
単なる気まぐれだと思った。
だけど,自主的にくれたプレゼントが本当に嬉しくて。
私はその言葉に
「ありがとう」
と返した。



