貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

ぐっと添えられた手に力が入って,私の身体が引っ張られるように傾く。

と,蘭華の唇が,私に触れた。

おでこでも目蓋でも頬でもない。

私の,唇に。

せっかくの口紅も,奪うように押し付けられた唇に移っていき。

離れた蘭華は,自分の唇を拭った。

ねえ蘭華。

分かってたでしょ,キスなんてしたら,取れてしまうこと。

自分が汚れてしまうこと。

なのに,なんで……



「ごめんね,凛々彩。待ってるから,差し直してきて貰ってもいい?」




私は蘭華を振り切って,部屋へと戻った。