『そろそろ外に出てみる?』



そう蘭華が私に持ちかけたのは,数ヵ月後の天気の良い朝の事だった。

毎日様子を見に来てくれるので,普段と変わらず迎えた私はとても驚いた。



「いいの? 私が外に出てしまっても」



怪しさ満載の私に,今生もそんな許可が与えられるなんて思ってもいなくて。

つい余計なことを聞いてしまう。



「僕が見てるからね」



ってことは



「蘭華も一緒?!」



私がずいっと前に寄ると,蘭華は目を丸くして,楽しそうに笑った。



「予想外な反応だ。そんなに嬉しい? 僕とのデート」

「そうゆう訳じゃ……」



無いこともないけど……

だって,蘭華は茶化すように言うけど,私からしたら本当にデート。

もうずっとお屋敷で過ごしていたのもあって,胸がどきどきと高鳴る。

でも,冷静になって,凛々彩。

ここを狙う大胆な敵がいるかもしれないのに,気軽にお出掛けなんていいのかな。

もし蘭華でなく私を狙われたら……

もちろん蘭華は見殺しにすればいい。

でも,それが咄嗟の攻撃なら,蘭華は守ろうとしてしまうだろう。

それに



「そんな時間あるの……? 最近,皆忙しなく動いてるでしょ? 何かあるんじゃない?」