凛々彩の手に包帯を巻き,氷を持たせる。

その様子を,凛々彩は不思議そうに見ていた。

あんなきっと経験したこともないような事があったのに,無防備に純粋な瞳を1点のみに向けている。

ため息を吐きたくなる程の頭痛は,全てこの子のせい。

今まで出逢った中で,1番言動や本心が読めない。

なのに信じたいなんて心を許した気持ちになるのは,この子の特性なんだろうか。

どちらにしよ,警戒しなくてはならないのが,イライラする原因だろう。

突然拐われてきたはずなのに,凛々彩はすんなりと受け入れて。

強気でいたかと思えば怖いと震え,そのくせ簡単に初な反応を見せる。

少し目を離せば,両親の不格好な墓に,真面目な顔で手を合わせていたりして。

事実上牢である部屋も屋敷も,どこにいても,まるで住み慣れた実家のようにリラックスしていた。

何より分からないのは凛々彩の態度。

胆が据わってるどころか,凛々彩の瞳は最初から俺達を好意的に映してる。

……何故?

早起きしてまで屋敷の仕事をし,サムやアンナにまで受け入れられている。

ちっとも気を抜けない,目を離せない。

大事にしてあげようと思っているのに,やっぱり彼女は何かを隠していて。

嘘なんかついてないように見えるのに,話せないことはあると言う。

凛々彩の本心は,どこにある?