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気持ちのいい天気。

私はベッドから起き出して,床に足をつけた。

時刻は4時半。

ここでのだらけきった生活に慣れている私には少々辛い物がある。

でも,このお屋敷のスタートはここからだから。

朝御飯もまだまだな時間に,私はさっと着替えて部屋を出た。

まだ,涼しいよね。

鼻を掠める風に思う。

長い長い道を,外を眺めながら歩いて。

私は1つの部屋の前で止まった。

静まり返っていた道中と違い,少しだけ物音がする。

ーコンコン

軽くノックをすると,1拍の間中が静かになる。

ガラリと襖が開いて,中のキッチンが見えた。

私より少し高い位置に,驚いた顔の女性を確認して,頭を下げる。



「初めまして…凛々彩と申します」

「おや,坊っちゃんのお客さんじゃないか。どうかしたのかい?」




頭上でアンナが不思議そうに首を捻っているのが分かって,私は頭をあげた。



「…いつも美味しいご飯をありがとう。何かお手伝い出来ないかしら」

「手伝い?」

「何でもいいの。清掃でも皿洗いでも,皆の朝食でも」

「なんだぁ? 嬢ちゃん。毒でも盛りに来たか?」



アンナが目の横に,縦の傷がある男をはたく。

彼はこれから任務なのだろう。

殺しか,何かの仲介か,視察か。

こんな時間に食堂が動く理由の1つ,軽食を手にしていた。