頬杖をついた蘭華が,人差し指と親指で,そっとマカロンを摘まんだ。

自分で食べるかと思ったのに,あろうことかそれを私に向けている。



「食べるんでしょ?」

「え,でも…だけど……」

「ほら早く」



ニコリと笑った蘭華に,食べざるおえない事を知った。

ど,どうして?

震える唇に力を込めて,私はそろりと近寄る。

ーサクリ

合った目を逸らすように,私は控えめに齧った。

お? とざわめきが広がる。

真っ白なワンピースのスカートに,ピンクの粉が散った。

さくさくと咀嚼して,私は飲み込む。

残念ながら,辛うじて少し甘味を感じる程度にしか楽しめない。

子供扱い,されてる?

私は恥ずかしくて堪らないのに。



「どう? 美味しい?」

「……ええ」


余裕を見せる蘭華に,私は諦めたように小さく頷く。



「まだ,残ってるよ?」

「ぅんっ…」


反応するように顔を上げれば,私が齧った反対側を親指で押し入れられた。

ふにゅりと何かの感触がする。

それを理解して,私は蘭華から距離をとるようにすると,右手の指先で唇に触れた。



「凛々彩,ついてる」



身体を捻って,蘭華が近付いてくる。