やっぱり,慣れてるなぁ。

私は翻弄されるばっかりで。

蘭華には微塵も意識して貰えない。

オニオンスープを口にすると,ほっと息が漏れた。



「今日は洋食なのね」

「そうだね。でも,他に希望があれば伝えるといいよ。きっと叶えてくれるから」

「そうゆうのじゃないわ」



とっても美味しい。

この島に暮らしていると,食事を提供される側としてはとても楽しい。

当たり前のように日替わりな夕食は,とてもわくわくするのだ。



「凛々彩はもういいの? 少なめに貰って来たつもりだったんだけど」

「ええ,もう入らないもの」



こんなに豪華な夕食は他にないわ。

私の答えを聞いた蘭華が,たまたまそこにいた男に声をかける。

何かを1つ命じると,その男は一目散にキッチンへと向かった。

やがて小さなお皿が他の人間によって運ばれる。



「どうぞ,凛々彩」



それを蘭華は,私の前に置いた。

蘭華がくすりと笑う。



「デザートも入らない?」

「マカロン!」



色とりどりのそのお菓子に,私は目を輝かせた。

きっとアンナね。

また教わりたい。

そんな気持ちが芽生えた。



「はい」

「え…?」