心残りは,あなただけだよお爺様。

妹とは違う。

もっと大きな罪を犯した私は,時期に消える(しぬ)

元ある運命を変えた。

1度目はぎりぎり見逃される程度の綱渡りだった。

1人に一定の期間を繰り返させただけ。

私が直接したのは,それだけだった。

けれどとうとう甦らせてしまった。

命と未来を与えてしまった。

これは,大罪だ。



「誰もお前を恨んじゃおらん」



妹を失った日と同じ容姿になるお爺様。

私は瞳を丸くして,そうかと小さく返事をした。

勿論神を一人失うという失態を犯した私を恨み蔑むものなど大勢いる。

けれど,それは私の心へ優しく落ちた。

私はあの子,凛々彩を拾い上げた日を思い出す。

凛々彩は,妹の,たった1人唯一の子孫。

神の末裔(わすれがたみ)

他は全て不幸の上に死んでしまった。

見守っていた私の前で,凛々彩もまた死に。

無駄だと分かりながらも姿を見せれば。

妹の神の血を色濃く継いでいた凛々彩だけが,私を認識し,言葉を放った。

神の力など使えはしない。

それでいて,なのに私にまっすぐと目を向ける。

まるで,あの子のように。

私は奇跡に,涙せずにはいられなかった。