それは,本当にたまたまだった。
数千年の時が流れ,私は。
赤い屋根の小さな家に,妹を見つけた。
『わっ私が分かるか?! 良かった……一緒に帰ろう』
待てど暮らせど,定期的に他の神へ連絡を取ろうとも。
妹が帰らないのは上への帰り方が分からないからだと思っていた。
けれど
『わたしぃ~?』
『ぼっぼく! あの頃はそうだった,私はお前の兄だ!』
『そーんなのは見たら分かるの,記憶力舐めないでくれるぅ~?』
相変わらずだった妹が戻らないのは,そんな理由ではなくて。
『っそれ,まさか』
私が目を向けると,妹は初めてばつの悪い顔をした。
妹は,妊娠していた。
戻らなかったのは,祭りで恋に落ちたからだと言った。
友人関係になり,その男は他の幼馴染みだという女と結婚し。
あれこれ頼まれては面倒を見て,仲良くして。
その2人の子供の子供の子供の友人の教え子の子供のいとこの友人の……
とそこから派生した縁で繋がった男に2度目の恋に落ちたため,妊娠したのだと妹からは経緯を説明された。
『兄ちゃん。ごめんね,1度くらい顔出せば良かった。いつかはと思ってたのよ? どうせ先は長いし』