蘭華は? と。

頭をぽんぽんと叩く。

その手を掴まえて,蘭華が手のひらにキスをした。

くすぐったい。

そう笑っていたのに。

蘭華の蒼の瞳に捕まって。

上気した頬を自覚するのが恥ずかしくて,私は顔を逸らした。

ちゅっと,ほっぺに柔らかい感触を与えられる。

そろりと見れば,蘭華は私の腰を撫でた。

首筋に蘭華の顔が埋まり,2つ程強く痕をつけられる。



「蘭,華……」



私のこと,好き?

そう瞳から,声から,熱から伝わったのか。

蘭華は



「愛してる」



重たいほどずっぷりとした甘い声で,私を抱えあげた。

寝台に身体が沈む。

腕が2本,蘭華の首からはらりとほどけた。

私がじわりと浮かべてはぽろぽろと落とす涙を。

蘭華は困ったように微笑んで見つめる。

そして右手で,何よりも優しく拭い取った。

愛してる。

その瞳はもう,何度も見たもの。

私にはその瞳が,そう言っているように見える。

蘭華の瞳に映る私もまた,同じ瞳をしていた。



                  ーFin