五体満足,生きて座る私達は,蘭華の微笑みよって幸せが完成した。



「……怒らないでね」



勝手なことを,沢山したこと。

今さら敢えて強く怒られることなどないと分かっているけれど。



「怒らないよ。だって君が……凛々彩が生きていることに,こんなにも感謝しているのに」



あ,と私は蘭華を見た。

これに似た苦しい顔を,私は見たことがある。

それだけ思い出さないことは出来なかったのだろうか。

前はできなかったから,と。

蘭華の目の下を拭えば,勿論泣いてなどいない蘭華が不思議そうにする。

苦しそうにしているよりは,ずっといいから。

よかった。

蘭華の涙に届く位置に,私がいる。



「まぁ,僕も死んじゃったみたいだけど」

「え"……」