「えっ,ら,蘭華……じゃあ今,前世の,覚えてるの……?」



ボロボロの門や庭,屋敷の修繕が早速行われている夜。

話があると呼ばれた私と,蘭華の2人のみが蘭華の部屋で腰を落ち着けていた。

そんな蘭華の前で,私は顔を赤くする。

皆は私が一瞬の間に消えたことなど,覚えていないらしい。

私から蘭華へしたキスは,ばっちりらしいのだけど……

そして蘭華だけが全てを覚えている。

私のおでこへのキスをきっかけに,何故か前世の,自分とそれも私の記憶の分までもを少し。

1回目と2回目じゃ,蘭華もそれぞれ違う人だと言うのが私の考えだから。

好きな人へ元好きな人の想いを知られるのは恥ずかしい。

それが本人なら,余計にややこしくも恥ずかしい。

2回の人生分の想いが,全て筒抜け。

相変わらず私は少ししか理解できていないのに。

一方的に筒抜けているこの羞恥は,きっと体験してみないと分からない。