私は思わぬ問いかけに,ぺたんと両手を床についたまま目を見開いた。

そんなの



「生きたい」



に決まってる。

他でもない蘭華と,今を。

ふにゃりと崩れた顔から,大粒の涙が堪えられず流れていく。

あった1年を2度も繰り返した。

私は何度だって蘭華が好き。

戻れるのなら,戻りたい。



「だけどそれは出来ないんじゃ……」

「神様舐めてんじゃないわ。出来るわ……私がやりたくなかっただけだよ」



神様は何故か,私の視界を塞いだ。



「たった1つの未来だけを変えるなんてそんな繊細な事は出来ない。なら,原因から多くの未来を変えればいい」



だから,願った私がそのまま過去に送られた。

そして,未来は生まれた。



「夜雅……あの男は,あのまま行けば世界規模の戦争を遊戯感覚で先導するところにあった。だけどそれも,生きているだけでもうなんの使い道にもならなくなっている」



生きている。

夜雅を思い出せば,あの状態でまだそんな余力があったことに少なからず驚いてしまう。



「その褒美だと思え」