わざわざ取り決めているのか,1ヶ所に交互で人が積み上がっていく。

カイの知り合いは,ちょっと独特だ。

けれど関係もないのに,呼び掛け1つで集まってくれているのだ,彼等も。



「っあ」



流れ弾が,私達の間を飛んでいく。

咄嗟の判断で手を離したサムに,突き飛ばされたわけでもない私が尻餅をついた。



「凛々彩さん!」



逞しい腕が,即座に延びる。

けれど



「サム! 後ろ……!」



ここは戦闘がなされている戦場だ。

サムも私にばかり構えない。

そもそも狙われているのは,私。

何とか攻撃を受け止め反撃したサム。

何とか立ち上がり,そのためにサムと距離を空けてしまった私。



「凛々彩さん,止まっていてはいけません! 近くにいれば安全なんて蘭華さんみたいに格好いいことも,俺には言えない! 絶対追い付くので,走ってください! 誰かきっと,凛々彩さんを守ってくれるから!」