「凛々彩さん,ありがとうございます! 凛々彩さんのお陰で,蘭華さんが俺達にも指示を飛ばしてくれるようになりました!」

「え」

「蘭華さんはまだやっぱり夜雅のそばを離れられないみたいですけど,ベルトゥスさんと喧嘩するだけの余裕が生まれてます。心配要りません」



逃げましょう! そう,組織では聞いたこともない台詞が元気よく飛び出た。



「あ,あれは? 一般人じゃ……」



まさか島民の暮らす場所からも離れているのに,巻き込まれているのだろうか。

エプロン姿,両手にフライパン。

そんな姿がいくつも固まって……え?

ただの一般島民にしか見えない大人が男女数名。

バタバタと南の敵を倒している。

明らかに浮いているおかしな光景に,場所も忘れ錯乱した。



「違います。あれはカイさんのオトモダチだそうで,中もきちんと武装した集団です。俺だって多分,余裕で負ける」