足をかけられそうになり,腕を捕まれそうになり。
囲まれるも,組織の人だって守ってくれる。
蘭華の大事な人。
そのタイトルさえ,私の肩に乗っていれば。
「っっ死ぬ気で守れ!!!」
「「指一本触れさせるな!!!!」」
「オウッッッ」
場を一気に混乱させてしまった。
色んな組織の人間が雑多になって,激しさを増す。
私は向かってくる銀に,はっとした。
けれど遅い。
それが私の左肩の辺りに向けられたこと以外が,分からない。
斜め上,彼女と目が合う。
シェリ,ア……
コキンッと音を立てて,軌道が逸れた。
冷静なシェリアの瞳が見開かれ,私から視線は外される。
「っ……かい……」
「おい,何リリーに刃向けてんの? ガキが。調子のってんじゃねーよ」
私の右腕を強く引いて,守るように立つカイ。
花束を置いて消えたあの日以来のカイだった。
今はただ,血走る瞳を大きく開けてシェリアをギラギラと見つめている。
ぐわんとまた腕を引かれた。



