「雪? 今年,何かあるんですか? 凛々彩さん」

「うーん,と。そんなところよ」



何事もなく楽しく過ごせるなら,何か企画しても楽しいかもしれないわね。

まだそんな心境には至れそうにないけれど。

前回と全く同じ日に襲撃があるとは限らない。

私が頼んだのは,何かあったら助けて欲しい。

そんな小さくて大きな弱音。

前世の情報を交えてしまう程,私はカイを信じていた。

カイもまた,私の言葉を信じる。



「お花,どうしよう。アンナなら花瓶の1つくらい持ってるかしら」

「持ってる……とは思いますけど。蘭華さんには内緒にした方がいいですよ」



蘭華に内緒事をしろ,なんて。

サムはとても珍しいことを言う。

組織の中でも蘭華に忠実なサムなのに……

それに,お花を……?

よく分からないまま,私は背中をぐりぐりと押された。



「ここに散らばった花弁は俺が何とかしておきますからっ」



私は花束を抱え,自室へと戻った。