あつい頬を,蘭華がまた片手で包む。

しっとりとした感触で,蘭華の手は私の肌に吸い付いた。

じっと見つめてくる瞳が不安で,私の瞳はふるりと震える。



「凛々彩が……君が。何を隠していても,信じてあげていいって思えるくらいに……大事だから」



自分達の破滅より,凛々彩を取ったんだよ。

簡潔に私へ届いた。

結局,曖昧にやんわりとしていたけれど。

それでも,嬉しい。

蘭華なりに,心うちを見せてくれたんだと思うから。

ぎゅっと。

蘭華の首に手を回した。

驚いたらしい蘭華は,片手で私の背を支えて。

私の次の言動をじっと見守る。



「うれしい」



力を入れ直して,呟いた。

蘭華は息を詰めて,代わりに私がほうと吐いた。



「私も,蘭華が1番大切なの。だから,カイがおいでって言ってくれたとしても,どこにも行かないわ」



抱き締めても怒られない,殺されない。

そんなこと分かってる私は,こんなにも簡単に,無防備な蘭華に触れられる。

嬉しい。

こんなにも近づけたこと。

君が大事だと,教えてくれたこと。