「半数はダーレンと言う男の娯楽目的だったらしいが,その男が強姦拷問用に任された土地だったらしい。どこまで本当か分かりゃしねぇが,少なくとも中にいた人間を見るにほとんどが本当のことなんだと思う」
歯切れの悪さに,私は首をかしげた。
推し量るように,じっと考えながらベルトゥスは口を開く。
「今の話は……温度差の激しい妙な女に聞いた話なんだ。捕まえてやろうと思ったが,それも失敗した」
シェリアとシェイナ。
シェリー,イナと呼び合う2人だとすぐに分かった。
「楽しませてくれたお礼にと凛々彩に言付けて,おかしな置き土産をしてったんだが……知ってるか?」
「……いいえ」
良くは知らない。
なんと説明していいかも分からず,私は首を横に振る。
そっか,あの2人はあの場を逃れて……
今,どこにいるんだろう。
「あいつら,俺に小瓶を落として行きやがった。俺の囲ってる薬草好きのジジイによると,殆んど賭けではあるものの,病院内の可哀想な女を元に戻せる可能性がある液体らしい」
貴重なそれは,そのおじいさんに任せたとベルトゥスは言った。
望みは薄い,だけど,戻れるかもしれない。
「彼女らはうちで預からせて貰う。野放しにした償いにもならねぇがな」
責任感の強いベルトゥスなら,その人達を悪いようにはしないのだろう。
私は一先ず息をついた。
やっぱり,またしても私に出来ることはない。



