「ベルトゥスのせいじゃないわ。忙しい身でずっと一緒にいてくれたじゃない。相手が上手だっただけ」
ベルトゥスのもとに行ったのは,そもそも私の意思だった。
その選択をベルトゥスが悔やんだのだとしても,それはベルトゥスの失敗じゃない。
それに
「ベルトゥスも探してくれていたんでしょ?」
その望み1つが,あの場で私の意識を生かし続けてくれていた。
「それより……ベルトゥス,怪我してるじゃない。寧ろ……あんな場所まで乗り込ませちゃってごめんなさい」
切れた唇に,痕の残る頬。
私一人のためにおおらかな南の土地のトップに傷をつけてしまったのだと思うと,申し訳なかった。
「いや,これは……」
ベルトゥスは困ったように眉を寄せて,私から視線を外す。
そしてそれを代わりに向けられたのは,蘭華だった。



