「ご飯もお風呂も用意があるよ,本当は休んで貰いたいところだけど,我慢できない事はあるかい?」

「えっと……じゃあ,お風呂」



こんな汚い身体のまま,ベット寝ていたなんて……

そう考えながら見渡して,ハッとした。

初日に通された部屋と同じ,つまりこのベッドは……普段,蘭華が使用しているもの。



「えっあ……! ごめんなさい,私直ぐに」

「どうしたの? 凛々彩。お風呂にするんでしょ? 僕も一緒にいくよ」

「蘭坊っちゃん,いけませんよそれは。あたしは許可しかねます」

「……アンナ……。ここが誰の根城なのか,忘れたの?」



そう呆れた声を出しながらも,やはりアンナには弱い様子の蘭華。

それを見て,先ほどの発言が冗談でもなんでもなく,本気だったことを知る。



「え,ちょっと……蘭華?」



一緒に入るなんて,私,まだとても無理よ。

私が戸惑いにストップを掛けると,蘭華は丁寧な手付きで私を抱き上げた。



「ね,凛々彩。凛々彩が1つ頷いて,僕が脱がせてしまえば勝ちだと思わない? 流石のアンナも,僕の裸体まで覗き見る権利はないのだから」