蘭華と目が合う。

これで,ダーレンの弾も,蘭華の弾も。

きっと私に当たる確率は低い。

ダーレンは私に引きずられるようにして,ほんの少し傾く。

ダーレンの銃口は,私の頭のほんの数ミリ後ろを捉えている。

鳴り響く3回の銃声。

1つ目は蘭華のもの,2つ目は咄嗟に引いただけのダーレンのもの。

そして3つ目もまた,1つ目を撃った後の蘭華のもの。

ダーレンの放った弾は私の髪の毛を舞い上がらせ,壁にシュウと収まった。

突然の襲撃を受けた壁もまた,無事ではない。

蘭華の2発の銃弾は……

2発とも,狂いなくダーレンの頭に。

蘭華すら向けず,驚きの表情のまま撃たれたダーレン。

彼に当たった感触は,その衝撃で後ろへ傾いたダーレンに抱かれている私にもはっきりと伝わって。



「はんだんを……あやまった。すみません,よる,が………………さ…ま」



目の前にあるのは,むごたらしい現実だけ。

小さな細い声が届き,私はゆっくりとダーレンの腕をはずす。

何も言えないでいる私の前で,初めて,人が死んだ。