ふわふわで,綺麗な蘭華の髪。

そんなものも,今はぼさぼさと荒れていて。

出掛ける時はいつもアイロンでピシリとしたズボンも,右足に染みた血液で重たそうに見える。

青筋だち,歯が摩りきれそうなほど。

蘭華は歯を噛み締めて,鋭くダーレンを睨み付けていた。

誰がどう見ても,怒り苦しんでいる蘭華。

大きく吐き出される息は,行き場のない感情をよく表していて。

もう既にめちゃくちゃな涙腺が,崩壊してしまう。

パサパサになった髪の毛を引かれ,背後から抱き締められた。

誰に,なんて。

今はダーレンしかいない。

ダーレンの手には,一丁の銃。

この状況でふてぶてしくも,ダーレンは蘭華を脅している。



「効果はないかと思っていたのですが……案外そうでも無さそうですね」



毒々しく,ダーレンは蘭華に笑顔を向けた。

片手とは言え,拘束は強い。

だからきっと,私はそれを解かなくてもいい。

蘭華が立ち往生するのは,私がお荷物だから。

ダーレンの銃は幸いにも一丁で,蘭華か私,片方にしか向けられない。

そして今,それは私に向けられている。

私はダーレンの腕に捕まったまま,頭を前方に勢いよく倒した。