貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

つぅりと汗がこめかみを伝う。

ダーレンが何を思うか,気が気じゃなかった。

抜けない正体不明の薬と,空腹と。

ただでさえ頭がくらくらして,先程までの動きも,全てが演技とは言いがたい。

ダーレンがことりと手に持った食糧を手離す。

そんなものを惜しんでいられる程の余裕はなくて,私はベッドに立てた両腕に力を込めた。



「まぁ,いいです。新しく飲ませても,今さらつまらない。かといってもう1個の方も……」



取りに行くのがめんどくさい。

そんな御座なりな反応だった。

そんなことより,今の意識を保った私の方が興味深いみたいで。

好奇心にそそられるような瞳を向けられる。



「どうせ最後は一緒なんです。最初くらい,たまには普通にしてみます? 壊れた身体で求められるだけと言うのも,そろそろ飽きてきたところなんですよね」

 

そんなこと,聞いてないわ。

ぞわりと警戒に粟立って,私は唇を噛んだ。



「私で堕ちてみます? 凛々彩」



とても,静かな感覚だった。

ほそく繊細な糸が,はらりと切れたような。

自然に詰まった呼吸が,ふうっと柔らかく流れ出て。

ー死んでも,嫌。


私は,次の瞬間には立ち上がっていた。